労働者派遣法改正で現場はどうなったか
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先月より施行された労働者派遣法改正の話なのだけど、『労働者派遣法が改正されました|厚生労働省』を読むと労働者側にメリットがあるように書かれている。この法案改正のポイントは、日雇い派遣を含む短期派遣で就労している方の保護に関してのことなのだと思う。それはそれで問題ないような気もするのだけど、これが長期雇用されている派遣労働者にとっては(お役所側とすれば)想定外の事態を招いてるのだが、これに関して誰か言及していたか。

派遣労働者・労働者の皆様|厚生労働省』の内容を読むと、派遣労働者に対する雇用側の説明義務等に関して書かれているのだが、第3項および第4項をポイントにして、雇用企業側に配慮を求めており、それが想定外の歪な状況を発生させるのである。

(3) 派遣先の社員との均衡(賃金など)が配慮されるようになります
派遣会社は、派遣労働者の賃金を決定する際、
[1]派遣先で同種の業務に従事する労働者の賃金水準
[2]派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力、経験など
に配慮しなければなりません。
教育訓練や福利厚生などについても均衡に向けた配慮が求められます。

派遣労働者・労働者の皆様|厚生労働省

派遣労働者にも雇用側の正社員並の賃金水準を求めるようになりました。

(4) あなたの希望により、有期雇用から期間の定めのない雇用への転換が進められるようになります
有期雇用の派遣労働者(雇用期間が通算1年以上)の希望に応じ、
[1]期間の定めのない雇用(無期雇用)に転換する機会の提供
[2]紹介予定派遣※の対象とすることで、派遣先での直接雇用を推進
[3]無期雇用の労働者への転換を推進するための教育訓練などの実施
のいずれかの措置をとることが、派遣会社の努力義務になりました。

派遣労働者・労働者の皆様|厚生労働省

長期雇用者に対しては、直接雇用(つまり派遣先で正社員なるため)への推進が努力義務が課せられるということになったようです。

さて、上記だけを読んでみると「派遣でやってきたけど正社員になれる可能性が増えるわけだし嬉しい話だよね」と思う方はいると思います。ところが昨今の状況を見ると、そういう話にはなりません。そもそも正社員をリストラしてきた企業がなぜに派遣社員を雇用していたかというと、賃金抑制を主体とする経費削減が目的だったわけです。派遣社員が正社員よりもコスト高なのであれば、先に切られるのは派遣社員のはずですね。

ところがそうじゃない。つまりは『安く付く雇用』を担うのが現在の派遣労働者であり、いざとなれば正社員よりも簡単に契約解除できるというメリットもあるわけで、雇用側からすれば便利な駒だったわけです。

改正によって正社員並の待遇を求めるようになって、可能であればそのまま正社員としての就業を目標とすることになってしまった。正社員をリストラして派遣社員も業務に支障が出ない程度に人員を減らす方向にある企業がこれを読むとどうなるか。人件費高騰に繋がり、しかも正社員への雇用要請にも対応しなければならないとなれば、人事側の選択は1つ。契約解除です。

長期派遣としてかなりの年月を働いたとなれば、現場ではかなりの戦力になっていると思われますが、そういう方がターゲットになってしまい、契約更新されないという由々しき事態になってしまったという話。余裕のない企業における派遣社員に扱いが今後どうなるか。恐らくは来年以降、どんどんと契約満了を以て契約延長はなされないという事例が発生し、解雇される方が増えることになるでしょう。

派遣労働者は減る方向になり、安く業務を請け負う業務委託という形で働く方が補充されるというパターンになりそうです。長く同じところで働きたいのであれば、起業して業務委託を請け負うか正社員になるしか方法がないのかもしれない。そうして最悪の決まりがこれ。

(6) 離職後1年以内に、派遣労働者として元の勤務先に派遣されることはありません
直接雇用の労働者を派遣労働者に置き換えることで労働条件の切り下げが行われないよう、離職後1年以内に、派遣労働者として元の勤務先に派遣されることはなくなります。

派遣労働者・労働者の皆様|厚生労働省

同じ企業で働く意志があったとしても、上記の縛りによって派遣会社を変更しても同じところへはすぐ就業することができません。企業側からとしても、「現在の条件で派遣会社を変更してもらえれば、まだ働いてもらえる」というようなパターンは封じられました。特殊な業界であったり、専門職として就業してきた方の場合、それを活かせる機会は法改正によって可能性が激減します。技能を活かして働くためには同業他社へ行くしか方法がありません。

現実の問題として、この派遣法改正のあおりで、かなりの年月を共にしてきた仕事仲間が現場から去ることになりました。その方を含め周囲も継続して就業できる方策を探していたようですが、人事方面の決定には逆らえなかったようです。結果的に対象となった方は別の派遣会社からこれまでとはまったく別の業界で働くことになったそうで、このご時世ありがたい話ではあるのだけども、仕事がなかったらどうなっただろうということで暗澹たる気持ちになったりもしたり。とりあえず明日は個人的に行う送別会なのだけど、どうにも納得がいかない。

こんな法案作ったの誰だよ。これからどんどん知ってる人がいなくなる。

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