10年以上前の話なのだけど、PC系のテレフォンサポートをしていたことがある。配属された部署的にはWindows系のサポートがメイン業務だったのけど、私が元々Macintoshを使っているということで、イレギュラーなMacintosh系の質問は私がすべて対応していたのであった。
テレサポという仕事は定期的に変な電話を受けて結構困ることがあるのだけど、今でも鮮烈に覚えているのは「ゴミ箱に入れたファイルを消すことができない」という質問。
質問そのものの内容はよくあることで、当時はOS8だったかOS9の時代だったと思う。「ゴミ箱に消せないファイルがある場合」の対処方法は結構簡単で、以下のような感じで99%は解決するのである。
- optionキーを押しながらゴミ箱を空にしてみる。
- 1がダメなら捨てることのできないファイルをデスクトップに出しファイルを選択状態にし、『情報を見る』からその内容を確認。ファイルがロックされてるならそれを解除して保存。そうしてからゴミ箱に入れて空にする。
- 2でもダメなら再起動してからゴミ箱を空にする。それでも捨てられないなら、改めて上記1を行う。
何をやってもダメだったケースはそれよりさらに昔に経験していたことがあって、ゴミ箱を空にしないで放置していた結果、そこに数万ファイルが存在していてハードそのものがクラッシュしたというパターン。この時は必要なファイルをバックアップしてからハードディスクをフォーマットして復旧させた記憶がある。まぁでもこのようなケースは稀で、たいていは先に書いた対処方法で大丈夫なはず……だった。
電話を受けた段階でお客さんはいきなり喧嘩腰。「ゴミ箱が空にならないんだよ!」という絶叫からスタート。落ち着いて対応してテンションを下げてから対処方法を説明。まずは先に書いた1をお願いするが、「捨てられない」という。ならばと2をお願いするが、少し沈黙があってから「だからできねぇんだよ!」と絶叫。仕方ないから3をお願いするが「だからできないんだって言ってるだろうが!」で再起動もしてくれない。
どこかでわからないところがあったかもしれないと考え、最初から説明して行動してもらおうと試みるがやはりダメ。こちらもさすがに困ったのだけど、めげずに幾度目かの1に戻り、「optionキーを押してますか? そのままゴミ箱を空にしたらどうなりますか?」と聞いてみたらこのような返答をいただいた。
「今パソコンはここにないんだよ! 馬鹿野郎!」
ここでガチャ切り。この時は怒りを通り越して呆れてしまったのだけど、そういうことを『文字を読め(ただの愚痴)』を読んで思い出してしまった。真面目に対応しても相手が想像の斜め上を行くようなスタンスだった場合、問題は解決しないし嫌な気分しか残らないんですよね。そうしてそのような方々に対して真面目に接するのが嫌になってしまうのであった。
私の場合は当時それが職業だったからということもあって逃げることができなかったのだけど、そういうことをボランティアでやってしまうと精神的なものの削られ方も尋常じゃないということは理解できますわね。相手がダメだと、どこまでやっても報われないことが多いですね。
そういうパターンに陥った場合は、どこかでマジギレしちゃうところを見せてしまえば解決することはあったりするのだけど、それができる性格ではないと厳しいしなぁ。親切な人はキレるところを見せたりしないことのほうが多いし難しい。
今ではそのようなことを業務にはしていないのだけど、結果的にサポートを行うことはままあって似たような状況になってしまうことはある。本業ではないので理不尽なことを言ってきたら抜刀するので問題ないのだけど、いつの時代になってもそういう方が減る気配はない。
善意に対して難癖を付ける対応しかできないような人がのさばっている社会というのは納得行かないので、そういう人には指のササクレが治らないという呪いでもかけておこうかと思うのでありました。