今年9月ごろなのだけど、佐賀県武雄市役所職員のTwitterアカウントよりスパムDMが送られたという話があった。その顛末に関しては『ICT先進自治体 武雄市の職員からDMでマルウェアのリンクが届いたよ – Togetterまとめ』にまとめられています。
ここで、スパムDMを送った職員の取った対応がまずかったということもあり、先のまとめを作成したAtsukoOrikasa (@Rutice_jp) 氏が連絡を取ろうとして別アカウントを発見。DMに関するメンションを投げたところからきっと話は始まる。
スクリーンショットは取得したけど、引用すると以下(直接閲覧するならFacebookに要ログイン)。
来るだろうな〜と思っていたら、やっぱり来ましたね。
今度は私のTwitter職員アカウントに来ました。差し出しは’AtsukoOrikasa’とあります。
私の予想ですが、この’AtsukoOrikasa’さんは日本人
ではないかも。冒頭から文章がおかしいです。そのままコピペしてご紹介します。
(中略)
皆さん、どう思われますか?
上記に対しての樋渡現武雄市長のレスが以下(先のスクリーンショットでも確認できます)。
ひまじんうんこ。
武雄市界隈では実によく見られる光景なのだけど、そのたびに話が出てくるのが『[PDF] 武雄市における情報発信に関するガイドライン』の件。こちらには一応以下のような記述があります。
(2) 具体的な「してはならない」事例
①相手が誰であろうとも、不敬な ( 相手を馬鹿にした り、悪口など ) 言い方、発言
②人種、思想、信条、居住、職業などで差別する発言、差別を助長させる発言
③違法行為を煽るような発言
④正否が確認できない情報 ( 噂や流説など ) を発信すること
⑤わいせつな内容を発信すること
⑥職務上知り得た秘密 ( 一般的に知られていない / 知らせてはいけない情報 ) を発信すること
⑦武雄市及び他者の権利を侵害する情報を発信すること
⑧重要施策の意思形成過程における情報 ( 検討中の素案、それに対する個人的な意見など ) を発信すること
ガイドラインがあるにも関わらず似たようなことがよく発生するのはなぜか、実はこれまで不思議でならなかったのですね。職員ならまだしも首長までそれに参加するわけだから。本来であれば首長の役目としては(少なくとも表向きは)ガイドライン違反行為を行う職員に対して注意する側の立場だと考えるのだけど。
ところでこの『武雄市における情報発信に関するガイドライン』には、冒頭にこのガイドラインは、千葉市の「千葉市職員のソーシャルメディアの利用に関するガイドライン」を参考に作成しました
とあるので、千葉市のガイドラインも読んでみました。
本文は『「千葉市職員のソーシャルメディアの利用に関するガイドライン」本文』で、補足となる文章は『「千葉市職員のソーシャルメディアの利用に関するガイドライン」FAQ』となります。
そうして読んでいると、千葉市と武雄市のガイドラインの違いに気が付きました。『情報発信の定義』なのだけど、それが千葉市には明確に記述されていません。千葉市の場合、本文冒頭1にてソーシャルメディアそのものの定義を行い、続く4にてその場(ソーシャルメディア)での活動そのものに対して行ってはいけないことを記述してあります。
要するに千葉市の場合、「市職員としてソーシャルメディアを(どのような形であれ)利用する場合の注意点」が記述されているわけですね。ところが武雄市の場合はガイドラインの冒頭にて情報発信に関する定義が記述されています。
(1) 「情報発信」の定義このガイドラインにおいて「情報発信」とは、武雄市が保有する情報を不特定多数の外部へ提供するものをいいます。
①該当するもの:市報・市役所だより・ホームページ・ブログ・ツイッターなどでの情報提供、マスコミへの情報提供
②該当しないもの:特定の個人にあてた文書・メール・FAXなど。
情報発信の定義以降に記述されているあれこれは、それが縛る状況をかなり制限していますね。
まさかとは思いますが、特定の個人に向けた(個人をあげつらった)文章だから冒頭の話は問題ないという判断なのだろうか。この理屈で行くと、武雄市公式アカウントは下手なことを書けないのだけど、それ以外の職員個人であれば、ガイドラインで定めた情報発信定義以外の発言は何をやってもお咎め無しになりそうかとは思った。一連の流れは、そうでないと理解できない。
一般企業であれば個人利用であってもそもそも「社会人として」の立ち振舞をガイドラインに記述していたりもするし、武雄市が参考にしたとされる千葉市のガイドラインでも、「市職員として恥ずかしくない」立ち振舞を求める内容になっているかと思うのだけど、武雄市はどの箇所を参考にしたのだろう。文章だけか。
ガイドラインひとつとってもいろんな思惑が垣間見えたりするわけで、そこはちょっとおもしろいかもとは思った。
それにしても森氏のFacebookでの発言とそのコメント欄、かなりひどいね。たしなめる人もいないという部分において絶望的だ。見せかけのガイドラインとかに意味は無いので、辞めたほうがヨロシイかと思いました。