地元とんかつ屋と廃業の話

地元とんかつ屋でロース定食を食べる 日々日常
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長年営業していて、今では高齢化したご夫婦で切り盛りしているお店の話。私の地元でもその手の個人経営のお店が数店あるのだけども、どこもかしこも今後どうなるのかがわからない状況。

「常連さんのことがあるからこれ以上値上げするのも」「すでに年金がなかったら経営できない状況だから、旦那か私かどちらかが倒れたらもう廃業しようかと」「こんな状況で子どもに後は継がせたくないから、サラリーマンをやらせてる」、みたいなことを地元ではよく耳にするようになってしまった。

毎週最低でも1度は行くことにしている地元とんかつ屋さんも、後は継がせないということで今のご夫婦でどちらかが動けなくなったら廃業する、ということに決めているらしい。

ちなみにこのお店の価格帯は、ランチ日替わりが750円。それ以外は800〜900円。ディナータイムは定食平均で1,400円くらいになるかな。お酒やつまみも出しているけれど、まぁまぁそんな感じ。

本当は全体的に150円くらいは値上げしてもバチは当たらないクオリティだし土地柄なんだけど、とにもかくにも「常連さんに常連さんに」ということで、メディアからの取材も全拒否してる。都内は一時的だとしてもメディアに紹介されてしまうと、知らない人が並んでしまって常連さんが入れなくなるという可能性があって、それをすごく嫌ってる。

そういうこだわりもあって、お客さんの数もそれなり。私がこのお店で出しているものを紹介する時だけは、地区名と店名を書かないのはそのせい。ディナータイムでメニューに出てくる「にんにくロース」とかマジで美味しいんだけど、知り合いに口頭でしか教えてない。

この記事を読んで、そんなことを思い出した。

 「何十年も変わらない値段と、チェーン店ではありえない品質の高さと格安さ」などとグルメサイトでも称賛されていることが多い。しかし、それを可能にしているのは、すでに減価償却の終わった古い設備、ローンを払い終えた自社店舗、そして年金をもらいながら夫婦で切り盛りしていることなどだ。

 ある意味、年金が経営継続への補助金のようになっているわけだ。こうした経営を続けてきた場合、いよいよ世代交代の時期になると若い現役世代にはとても生活をしていけるだけの収入を得ることができない。

とんかつ屋の悲劇 ~ 行列ができる人気店がなぜ廃業するのか(中村智彦) – 個人 – Yahoo!ニュース

地元とんかつ屋の場合、もう今のご夫婦の代で終わらせることを決めているので、「和式トイレを洋式にしたら女性も多少は増えるのに」みたいなことを他の常連さんからも毎度突っ込まれているのだけど、それをやる気はないようだ。コストも掛かるしこれ以上客が増えても面倒なだけ、とのこと。

こちらとしては「年金使ってまでやらんでも」とは思いつつ、「このお店消えたらちょっと寂しいなぁ」などという感じでとてもモヤる。そして現状で大家さんから定期的に家賃値上げ交渉が入るそうで、家賃が上がったら即死状態になるらしい。そこまでやってお店を維持しなくても良いとは思うのだけど、世の中は世知辛い。

なんだかだと言って、私がこの地元にいる間にあのお店はなくなるだろう。他のお店もご夫婦高齢化に伴って消える運命にある。残されるのはチェーン店ばかりだ。なんとも味気ない日常が待っていると思うと、なかなかに残念な話なのであった。

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