クズ上司の下で働いていたときの話


大阪で初めて正社員となった会社の話なのだけど、2年アルバイトしててそこから採用されて1年で辞めることになったのだな。今でも守秘義務が有効なのかわからないので業務内容は割愛するのだけど、メインの仕事場は隔離された部屋の中で年中気温は一定に保ち(確か 17 ℃だったかな)、総額で2億円程度の機械が 24 時間数台動いてるというような場所。

ホコリは厳禁だったので、作業場では窓を開けることはなく、冬場は寒くてコートを着て仕事していたように思う。そういう場所で深夜から早朝にかけてごそごそと仕事をしてた。日中は夜間学生のバイトに任せていたので、忙しい時期の私は月間で太陽を観たのが2回くらいしかないような生活をしてた。そんな業務だからお金はそれなりで良かったと思う。

正社員になったあとも同じような勤務体系ではあったのだけど、日中も顔を出すようになって深夜から早朝の業務はフリーターだった人に任せるようになった。それでもそこに携わる社員というのは私だけだったので勤務時間は不定期、週休1日で1日何時間働いてたかなぁ。

本社が週休2日を採用しても、私だけがそうはならなかった。私のいた部署でも他の人は週休2日になってたのが納得いかなかったのだけど、何せ特殊な業務だったし、クライアントに迷惑も掛けられないしでそこは我慢してたな。営業の人や事務のお姉さんには同情されてたけど。

そんなこんなで事件が起きる。

作業場のエアコンの調子が悪くなったことに気が付いたのは、ある年の1月だったか2月だったか。使っている巨大な機械たちの動作保証は気温 25 ℃以下だったような気がする。エアコンがないと気温を保つことはできないのだけど、その時は冬まっただ中でなんとか動いていた。

当然のことながら当時の部長(私が所属していた支所内でいちばん偉い人)には、「このままだと夏場がヤバいのでエアコン修理依頼するか新しいエアコンを」というようなことをお願いしていて、それに関しては「わかった」という返事ももらっていて。

ところが3月を過ぎてもエアコンが修理される気配はなく、他の社員の方に聞いても「さぁ?」という返事。仕方ないからそれ以降何度か警告を出したのだけど、なぜか逃げられるようになった。ここが本当によくわからない。でまぁ春先も過ぎた辺りで、突然エアコンが止まるようになる。本格的に夏場が危険な香りになってきたところでもなぜかスルーされる。

社員1年目の私は、そのときにどのように振舞えば良いのかさっぱりわからず、他の方にも相談はしていたのだけど「決裁権のあるのが部長だから彼が動かないとどうにもならんですよ」と云われて呆然。「これでエアコンが修理されないでトラブルが発生したらどうするんですか」と詰め寄ったのだけど、それも「まぁまぁ」と。

あまりにもみなさんが呑気なので、「こりゃ裏で動いてくれてるのかなぁ」などと安心した私が悪かった。

あっという間に夏場に突入。その年は猛暑と云われて大変だった年なのだけど、エアコンがまともに動かなくなり機械は熱暴走で止まるようになる。冒頭にも書いたけど、総額で2億円を越える機械です。業務もこなさないといけないしで業者の修理を呼ぶのだけども、状況を見て絶句される。あり得ないと。

日中だけでなく、深夜早朝にも熱暴走で機械が止まることがほぼ毎日。業務が遅々として進まなくなり、携わってるバイトの人達からもクレームが。閉め切った部屋の中が 40 ℃を越えると、人間というのは 15 分働いただけでも死にそうになるということを初めて知った。当然機械は少し動かしては落ちるを繰り返す。

あまりにも機械が落ちてしまう日は、私の権限で「もういいから窓開けろ」で一斉に解放。ビルの最上階だったので、よく風が通って気持ちよかったです。当然、その日は空いた時間常に掃除。

おれはずっと前からこうなることを云ってたよね、云ってたよね。

さすがにひどいので珍しく顔を出した部長を捕まえて現状報告とこれまでの恨みつらみを云ったら、彼は黙ってエアコン業者の名刺を差し出して「ここに電話しろ、云えばわかるから」とひと言。この段階で「何もやってなかったのか!」と絶望したのだけど、ともかくは……って、なんで部長がそこで電話しないのだ? と突っ込もうとしたらまた外出。

ともかくは名刺にある会社に電話して担当者らしき人を呼んでもらい、こちらの会社名と状況を説明したのだけど「すいません、よくわからないのですが」と切り返される。よくわからないのはこっちも同じだ。仕方ないので、エアコンが壊れて大変であることと、部長に云ったらあなたに電話するように云われたことと、電話したら解決すると云われたことを伝えたのだが。

「その部長さんですが、誰なんですか?」と云われたら絶句するしかない。

結局、経緯は不明だがたまたま持っていて適当にエアコンを扱ってる企業の人の名刺を渡されたらしいことを、そこで知ってさらに絶望するのであった。リアルに人を殺そうと思ったのはきっと、今のところ、それが最初で最後のような気がする。電話先の人には謝ったのだけど、なぜに私が謝らないといけないのかが脳内をぐるぐると。

当時仲の良かった部長秘書兼事務の方(超美人)にも相談したのだけど、そこから部長の動向情報が随時入るようになった。いつも出張だのなんだので会社に居なかったのだけど、ほとんどがゴルフに費やされていたらしい。それを聞いて何かがキレた。

それまではクライントに迷惑をかけてはいけないという責任感と、一緒に仕事してくれている仲間に悪いからという理由だけで悲惨な状況をなんとかしようと思って仕事していたのだけど、もういいやとなったら身体が自然と会社には向かわなくなる。それで結局1ヶ月無断で会社に行かないようになった。朝起きて着替えて出社する振りをして毎日パチンコするようになっていた。

でもその時のことはあまりよく覚えてない。

他の社員の方が心配して自宅に電話していたようだけど、何人かは状況を把握してくれていたので「出社しないし連絡取れないのも仕方ない」という認識だったらしい。部長秘書兼事務の方が本社の人事にチクってくれたことを知ったのはそこから2週間後くらいかな。私と云えば半うつ状態でどうしようもない状況。

なんとか気分も盛り返して関係者に連絡して辞めることになったのだけど、事情を把握していた本社の方からは労いの言葉と退職金代わりに無断欠勤していた分の給料をまるまるいただくことになった。これまでの人生であれだけの人数の方から“お悔やみ”をもらったことはない。

最後に勤務先ビルの1階にある喫茶店にて部長と喋ることになったのだけど、案の定定型句としての「どうしても辞めるのか期待してたのに」などと云われて「はぁ?」という感じ。「働けるわけがないでしょう」と云った返しで「君はそうやって逃げるか」という信じられない言葉を聞いた時はさすがに笑ってしまった。

あまりにもバカバカしくなったので、伝票を取って先に出ようとしたのだけど「ここは出すから」と云われてまた爆笑。「そんなの当たり前ですよね」と云って伝票を押し付けてその店を出た。

そんな言葉は当時なかったけれど、これもやはり○○ハラの1種だったのだろうか。モラハラとパワハラの複合技か。もしかしたらエアコンの予算さえも出せないくらい交際費に突っ込んでいたからか。どちらにしても、あのおかげで1歩間違えば私も首を吊ったかもしれない。冷静に考えればそんなバカなことはないのだけど、信じられないような状況に追い込まれると人間なんてどうなるかわからないものです。

自殺した飲食店店長(24)、受けたパワハラが酷すぎる件』を読んだのだけど、コメント欄では「なぜ逃げない」というような意見が散見される。そう、逃げることができるような人は自身を追い込むまでそんな仕事に固執しないのですよ。それができないから、悲惨な事件が起きる。

私は相談できる人が数名いたし、状況を見ていた方々が裏で動いてくれていたから助かっただけなのよね。あと、本当に怒ったら「周囲なんて知らんがな、おまえらが困れば良いわ」ができる性格だったからというのもある。それでも状況に由っては追い込まれるのですよ。

亡くなった店長さんのような人を出さないためには、そのような環境を無くすこと。つまり、店を潰してあげるのがいちばん良いのだよなぁ。でないと、同じようなことはいくらでも連鎖して起きる。要するに「もう『ステーキのくいしんぼ』には行かない」ということで。これまでも私は行ったことないけど。

ニュースを読んで悲惨だと思ったのは、父親の言動か。なんだかまったく救われない。