いろいろと物議を醸したまま 4/1 の新図書館のオープンを控えた佐賀県武雄市ですが、なかなかおもしろい文章が2点ほど。1点は現武雄市長のエントリである『やっぱり武雄市民は分かってくれてる。 : 武雄市長物語』であり、もう1点は、恐らくはそれを受けて書かれたであろう『やっぱり武雄市長は分かってくれてない。』という匿名日記。
前者の文章は、現武雄市長の別のエントリに投稿された応援的コメントをまとめて引用したエントリになっているのだけど、そもそも論としての武雄市における新図書館構想の問題点などはまったく考慮されていない。なぜにそれが(九州は佐賀県にある一自治体のやり方が全国的に)問題としてネット上で議論を呼ぶことになったのか。
基本は簡単なことで、『個人情報を扱うことになる図書館において、個人情報を商売の種にする企業(T カードで有名な CCC)が参画したらどうなるのか』という疑問と不安なのですね。まずはそこから始まった。武雄市議会の動画などを観ていると、その他行政サービスにおいても T カードが絡むと良いというような発言があったりする。そうしてそれが、他の地域にも影響を及ぼしそうになっていること。
当初問題点が発覚したとき、とある武雄市民の方がブログにて問い掛けを行ったのだけど、所在のわかる方だったようで圧力がかかり、ブログ閉鎖および Twitter アカウントは鍵付きになるという事件がありました [01] 。
現市政に賛同する意見は市長の個人ブログに取り上げられるようだけど、(あからさまな反対ではない)慎重な意見を発するだけでも周囲から追い込みが掛かるというのは本当にフェアじゃない。冒頭に挙げた後者の文章は匿名日記ではあるけれど、このような形でないと意見表明ができないようになっているのが佐賀県武雄市の現状らしいことを考えると残念でならない。
個人情報もプライバシーもない、論を反する相手に対してはそれを特定して叩くという自治体というイメージを少し前から持つようになってはいるけれど、どうしてここまで極端な自治体なのだろうという考えが頭の中から抜けなかったりする。
これまで私は、武雄市民と思われる方のブログが2回閉鎖されるのを目の当たりにして来ました。私は3人目にはなりたくありません。
おかしな話だよ本当に。少なくとも完全に表に出て来なくなった方を知ってるだけに、この匿名発言が冗談だとは思えない。延々と積み重なった問題をまとめている『佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem』というサイトがある。諸手を挙げて現武雄市長に賛同している方々におかれましては、ちょっと冷静に読んでみた方がよろしいのではないか。
それにしてもだ。この一連の問題を些末なこととして済ませたいと考えてる方々がいるようなのだけど、特定の企業が行政に食い込んで、しかもそれだけでなく市民の個人情報を利用するかもしれないという状況において、そうしてそれが一自治体から飛び火して他方にも影響するようになったらどうなるかであるとか、そういうことを想像する能力はないのかね。実際にその辺りの思想が飛び火しているから、洒落になっていないのだけど。
そういえば新図書館構想に関して、国費2億円が投入されている [02] とかいう話を聞いた。確か以前に市長以下取り巻き様たちが「関係ない地方に口出すな」的なことを言っておられた気がするのだけど、そこに関してのコメントはみたことがないな。
以前に Twitter にて「もう武雄は勝手にやってくれ」的なことを書いたことがあるのだけど、私の住んでいる地域にまで及ぶようなことがあると困るよ。もしそのような動きがあったら断固として反対するし、他方自治体に対して国費投入されたというのであれば、そこはしっかり見ておいたほうがいいよね。
ともかくはだよ、自身に都合の良いことだけを前面に押し出しておいて、その実、裏では見えるような形で言論封殺であるとかリアルに圧力かけるであるとか、そういうのがわかるような形で日々流れているのが信じられないよ。毎日毎日忙しいのだろうな。例えば Facebook や Twitter でのブロックで。
References
↩01 | 『佐賀県武雄市の新図書館構想と地元市民問い掛けの顛末は | 脳無しの呟き《土鍋と麦酒と炬燵猫》』を参照のこと。 |
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↩02 | 『武雄市図書館のTSUTAYA化に国費2億円の投入が決定してしまったのでより広く議論しませんか? #takeolibrary – Togetter』を参照のこと。 |