『リアル図書館戦争』文字起こし

もふもふあげさん トラブル
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2015/10/08にTOKYO MXで放送された『モーニングCROSS』にて、“TSUTAYA図書感問題”が取り上げられたので、それの文字起こしを行いました。番組を観ることができなかった方の参考になりましたら幸いです。

オピニオンCROSS出演者

  • 堀潤(MC)
  • 脊山麻理子(アシスタント)
  • 猪谷千香(ハフィントンポスト記者 / オピニオン)

文字起こし全文(番組開始冒頭)

脊山:みんなの意識調査、今日は何でしょうか。
堀:さぁ、えー図書館運営の民間委託。あなたは賛成ですか反対ですかと、まぁ先日も住民投票によって、まぁある地域ではまぁ「うちでは要りません!」というのもあったりしましたが、みなさん、えー賛成反対どちらもない、いろいろご意見をお聞かせ下さい。(青ボタンや番組サイトからの投票を促す)

文字起こし全文(オピニオンCROSSのコーナー)

堀:(虎屋休業の話題終了から)続いて、猪谷さんお願いします。
猪谷:はい。こちらです。
堀:リアル図書館戦争。

ナレーション:レンタル大手「ツタヤ」の運営会社などが指定管理者となり、今月オープンした神奈川県海老名市の図書館で、蔵書に、タイの性風俗店を案内する書籍が含まれていたことがわかり、市は、貸し出しを中止するよう注意しました。

堀:うーん。発覚したのは『大人のバンコク極楽ガイド』、『タイ・バンコク夜遊び地図』、これタイの人もまぁ……ちょっとやだろうなぁと思ってんでしょうねこういうの選考するの。
猪谷:そうですねぇ。
堀:で、女性のカラー写真付きで店の利用方法などが解説されているということだったんですねぇ。まぁ、何かといえば槍玉に上がるツタヤ、ですけれども
猪谷:はい。
堀:ちょっと最初に意識調査の結果を見てみましょうか。
猪谷:あ、そうですね。
堀:図書館運営民間委託賛成ですか反対ですか、せーのどん。

賛成 483票 / 反対 603票 / どちらでもない 453票

堀:ふーむ。
猪谷:あー反対がやっぱり……。
堀:まぁ割りと、やや反対多いですが、まぁどちらかというとこの母数で言うと、まぁ割れてるのかなという感じがしますね。猪谷さん。
猪谷:そうですね、あのー、今回あのツタヤ図書館ということで、まぁ武雄市図書館そして海老名市の図書館といろいろと問題が噴出してきてる中で、今そのちょっと議論がですね、「じゃぁ民間全部、ちょっとダメじゃん」ということに、ちょっと傾きつつあるのがちょっと怖いなと思っていまして……。
堀:そうですね、ええ。
猪谷:ていうのは、
堀:こういうとき、一気に振れますからね。
猪谷:そうなんです。
堀:住民投票したらやっぱりもう「ダメ!」っていうことがばーんと出ちゃう。
猪谷:あの、みなさんあんまり多分普段の図書館の運営、自分のトコロどうなっているかって気になさらないと思うんですけど、実はあの結構民間の運営はあのー、CCCさんだけではなくて増えていまして、二千……
堀:※※※※でねぇ。(聞き取れず)
猪谷:はい、2003年からもう、あの指定管理者制度ということで、あのー制度ができまして、まぁ企業だけではなくてNPOなんかもできるんですね。で、あのーなので、あの実際その、どういう図書館を運営したいかってことを地元の方たちが考えた上で、じゃ民間がいいのか直営の……実際直営がいいのかとか、考え……その選択肢、としての、まぁ民間、ということだったらありだと思うんですよね。
堀:なんかね、急に今まで図書館利用してなかったのに、急に、「おれは言いたい」みたいな感じで参入してきて「わぁー」と増えてね。
猪谷:あのー言いたくなる気持ちはすごいわかるのが、これだけのやっぱり、これツタ……これまでですねCCCが、あのー、運営する図書館で起きている指摘されている問題点ですね。

猪谷:いくつか箇条書してきたんですけども、あのーまぁ「Tカード導入」するのは、ポイントが付くのはどうなんだろう、とか。
堀:ま、これポイントカードって言うよりも、やっぱり消費の把握ですからね、Tカードっていうのは。
猪谷:そうなんですそうなんです。で、その個人情報にも関わるので、それをまぁ企業が、に、持っていかれるのがどうなのか、とか。それからあの郷土資料なんかも、結構除籍されてたりとか、武雄市図書館では。
堀:ええっ!?
猪谷:そうなんです。
堀:ええっ!? どうして!?
猪谷:うーん、どうしてでしょうねぇ(苦笑)……なんか私も聞きたいぐらいなんですけど……
堀:保管するのに……維持費が掛かるから?
猪谷:あのーまぁそれもありますし、そうですね……あの、やっぱり……
堀:ま、効率を考えるとっていうところもあるんですかね。
猪谷:あの、維持。維持保存ということが、やっぱコストが掛かるということだったのかも知れないですねぇ。それでまぁ、あの……いろんな問題が噴出している中で、あの10月4日に行われた小牧市、という愛知県の小牧市で、まぁあの、CCCと組んだ新図書館計画があの進んでまして、でこれをまぁ是非を問う、えー住民投票が行われて、あのー「No」という、住民の方々は「No」を突きつけたっていうところまで来ているんですね。で、その中で、あのーちょとその中の話題としてはちっとちっちゃいかもしれないんですけれども、私が非常に気になったのが、あの海老名市の図書館に入っている、そのさっきニュースに紹介されたタイの歓楽本が……歓楽街本ですね、でそれがどうして気になるかというと、これに対する対応として、あのーニュースで流れているのは、あのー教育委員会の教育長がですね自ら、まぁあの選書をしたりとかですね、そういった例えば市議の方がえと、「この本はマズイんじゃないか」と言ってきたりとか、そういったその、図書館のなんかこう自浄努力ではなくって外部からのいろんな圧力によって、その選書あーだーこーだって取り沙汰されて非常にちょっと危険だなと思ってまして、と言いますのは、あのー、実は、これ日本図書館協会が定めている、ま、あの図書館界の憲法みたいなことが。

堀:図書館の自由に関する宣言 [01]
猪谷:そうなんです。ちょっとあのー、これ非常に長いんですけれど一部抜粋して持ってきたんですが、まぁあの図書館というのは基本的人権のひとつである「知る自由」というものを、まぁ、提供するという重要な任務を持っていると。で、そのためには、まぁどうしたらいいかというと、まぁ「資料収集の自由」ですね。まぁその個人・組織・団体からの圧力や干渉によって、自己規制はしないとか、それからまぁ提供するにしても、あの一時的な社会的な要請によって、まぁあのー、そういったことを、自由を、
堀:変化を加えられることがないように。
猪谷:そうなんです。とか、まぁいろいろあと、それから検閲ですね。「検閲にも屈しない」とかですね、まぁ非常に勇ましい宣言であって、これが実は元になってあの、小説の『図書館戦争』なんかにも発展したということがあるんですけれども、あのー、実はこれに抵触する問題ではないかなと思っていまして、
堀:なるほど。
猪谷:で、実は今までも、あのー例はあったんですね。あの、静岡市なんですけども、図書館で、同じようにタイの歓楽街のガイド本が入っていまして、いかがなものかと市民団体から、あのクレームとか要求が来たんです。排除しようという。でもそれを図書館側は最終的に跳ね除けまして [02] 、で、今でも、あのま18歳未満には貸し出さないという条件付きなんですけども、
堀:なるほど。
猪谷:貸し出しは自由にしている……
堀:へぇぇぇぇ。
猪谷:……ということなんですね。ですので、あの今回ですね、これちゃんと対応見誤らないようにしないと、図書館本来のものって何かっていうことに関わってきますので、今、これだけツタヤ図書館の計画が全国で展開をしてるんですね [03] 。特に(テロップの)下の方です。まだできていない図書館 [04] まだこれだけ今進んでますので、あのー非常にこれはですね、えーと今一度図書館とは何かって私たちにとって何かということをよく考えて、あのー進めていただきたいなーと思います。
堀:でもほんとにこのまぁ岡山県高梁市もそうですし、小牧市もまぁこの間話題になりましたけれども、ほんっっっっっっっっとにっ、他に観光資源が乏しいですよ。ほんとにもうインターネットカフェか、近くの巨大モールに行くか、しかない、みたいなね。
猪谷:はい、はい。
堀:だから、こういう施設がひとつ出来上がることで、確かに憩いの場が出来たりとか、あんまり行かなかった図書館に行けるようになるとか、だから企業ーのみなさんが、この今猪谷さんがおっしゃったようなことを理解していれば、いいはずなんですけどね。
猪谷:そうです。図書館本来のやっぱり機能をきちんと保持したまま、じゃぁブックカフェやるんだったらどうぞっていうことは思ってますけども。
堀:そうねぇ。
猪谷:はい、そこを忘れてはいけないですね。
堀:うーん。
猪谷:はい。
堀:さぁ、どうもありがとうございました。

問題点がごちゃごちゃになっている方もいるようですが、歓楽街本に関しては猪谷氏が言うように、別の問題をはらんでいます。こちらに関しては「TSUTAYA図書館であるから」というような話ではなく、検閲に関する問題となります。蔵書に関しては、個々の図書館の蔵書ポリシーに委ねられるものであるということを忘れてはいけないと考えます [05]

またやはりポイントとなるのは「図書館機能が保持されていれば」という締めの箇所でしょうか。これがおろそかに見えるので、TSUTAYA図書館は問題にされているということになるかと思います。

あと余談ではあるけれど、堀氏の発言は意外に聞き取りにくかった [06]

References[+]

References
01 図書館の自由に関する宣言』を参照してください。
02 『タイ買春読本』と「図書館の自由」に関する記録』を参照のこと。
03 【改築】佐賀県武雄市 / 神奈川県海老名市 【新築・駅前開発】愛知県小牧市 / 岡山県高梁市 / 宮城県多賀城市 / 山口県周南市
04 愛知県小牧市 / 岡山県高梁市 / 宮城県多賀城市 / 山口県周南市
05 TSUTAYA図書館としての蔵書ポリシーが見えてこない問題は、また別の話。
06 猪谷氏発言中によく被せてくるので、それが聞き取りにくい大きな要因ですね。
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