内閣府のおとう飯キャンペーン炎上とか

もふもふあげさん 社会
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ちょっと出遅れて知った内閣府のキャンペーン、言葉だけではよくわからないから 『「“おとう飯”始めよう」キャンペーン | 内閣府男女共同参画局』(魚拓)を読みに行ったのだけどそりゃ炎上もするわ。いや、趣旨はわからんでもないのよ。でもまぁやはり、現実が見えてないというか何言ってんだこいつというか。

これまで料理なんかできないと思っていたあなた、
立派な料理を作らなければいけないと思っていたあなた、
いいんです。
“おとう飯”ならいいんです!
簡単に、手間を掛けず、
多少見た目が悪くても美味しければ、
それが“おとう飯”。
美味しいと言ってくれる、家族の笑顔をみてみませんか!!
自分自身にも新しい発見があるかも・・・

いろんな批判は読んだのだけど、そもそもこれまで料理できなかった(関わらろうとしなかった)人が料理作れるわけなかろうと。「立派な料理なんてできなくても」とか云う前に、まず立派じゃないものさえできるかどうかさえわからん。

「料理なんてレシピちゃんと読めばなんとかなる」とか思ってる人も多いだろうけど、現実はそんなもんじゃない。できない人はとことんできない。「適当でいい」とか云われたら、逆に途方に暮れるくらい何もできない。迂闊に台所に立たせたら悲惨なことになるに違いないから、むしろやらせないほうが良いと言いたくなるくらい何もできない。「おとう飯」なら許されるってわけがわからん。作るならちゃんとやらせろ。

「やるにも時間がない」という批判があって、実際に先日の私の場合を書いてみる。

  1. 晩ご飯をどうするか、ある程度は日中(可能なら前日までに)考えておく。
  2. 仕事帰りにスーパーに寄って材料を買う。(数日分購入することで毎日スーパーに寄らないでも良いようにする)
  3. 帰宅後購入したものを冷蔵庫に収納して少し休憩する。
  4. 落ち着いたら炊飯の準備をする。3合分(約2日分)の米を研いである程度水を切ったら文化鍋に入れて注水、吸水時間は最低でも40分くらいは行う。
  5. 吸水中に副菜関係を作っておく。先日は自家製なめたけ(材料切るトコロからカウントして約10分で2日分)と茹でオクラ(下ごしらえからカウントして約15分)を作成。掛かる時間は吸水時間に含む。
  6. 炊飯開始。私は文化鍋で炊飯しているので完全放置はできない。コンロに火を入れてから完成までに約40分。炊き上がったご飯はおひつに入れておく。
  7. 炊飯中に味噌汁を作っておく。先日の具材は豆腐とアオサだけども切るのは豆腐だけ。アオサは乾燥したものを食べる前に投入する段取りで、実際に食べる前に再度火を入れて温める。炊飯中に作っておくので調理時間は炊飯時間に含む。
  8. 食事前にメインを作る。先日は豚肉(こま切れ)と野菜を炒める系。茄子を使う場合はアク抜きに水でさらしたりする時間が入るが、切るだけで良いものばかりなら、調理時間は材料を切るトコロからカウントして15分くらい。
  9. すべて完成したら適宜盛り付けしてテーブルに。

買い物する時間を無視して調理からテーブルに出すまで、結構しゃかしゃか動いても90分以上は掛かる。食事&食事後の洗い物時間まで含めたら、最低でも2時間半くらいは掛かるのではないか。「おれならもっと段取り良くできる」とかいう姑気質なツッコミもあるだろうけど、多少休憩入れながらだとまぁまぁこんなもんでしょう。副菜は多めに作っておけば翌日から数日は作らないで良いし、ご飯は多めに炊いたら冷凍するとかあるけれども、まぁそんな感じで。

で、だ。

内閣府の云うトコロの手間の掛からない料理というのは、どの程度のものを想定してるのだろう。今回のキャンペーンでダメだと思ったのが実はそこで、「じゃぁ例えばどのような」がキャンペーンページには用意されていないのであった。週3日父親に(苦手だったもしくはしたことがない)料理をしてもらうとして、4週分のレシピ事例でも出してみろって話。

料理は慣れてきたら冷蔵庫にあるもので適当にそれなりの形にはできるけど、実はそれも「冷蔵庫の中身や調味料の在庫をある程度把握できていて、足りないものや使いそうなものを事前に購入できている」というスキルが必要なわけです。料理に費やす思考時間も意外とバカにならないわけで、「よーしパパ、1年ぶりにカレー作るぞ―」みたいな話とは訳が違う。日常生活において食のことを考えるならもうちょっと、ねぇ。

食に関わる2時間半ほどを家族に合わせて用意するにあたり逆算し、20時には洗い物まで終了させようと思うとなれば最低でも17時くらいにはスーパーにいないといけない。休日に材料まとめ買いをするなら数日分の献立は漠然とでも考えておかないといけない。買い物を家族に任せたりする方法は当然あるけれど、少し残業してからという人が作るとなれば晩ご飯の開始時間は22時を超えるやもしれない。子どもがいる家庭でそれは厳しくないか。

作り置きや冷凍、時短で使える手法はあるけれど、それだって作り置きや冷凍するものを作る時間は別途必要なわけで、結局トータルで食に関わる時間を考えるとそれなりにはなってしまう。「見た目は悪くても美味しければ」を実現するのも、それなりに大変だと思うのですよ。

内閣府は料理を作ったお父さんが家族待たせたテーブルに配膳して皆でいただきまーすして娘あたりが「ぱぱーおいしー」「そかそかー」みたいな状況しか考えてなくて、そういうのを日常的に行うということ(買い物や洗い物の時間や家族が揃う時間まで含む)なんてのはまるきし考えていなさそうなのが泣ける。

あと、なんだかんだで日々の料理というのは毎日が連続していたりして、「昨日の残ったにんじん半分も今日は使う」的なことはよくあるわけです。作った残り物ではなくて、材料の残り物の話。それらを使った献立を考えることもできないで昨日をぶった切り、まるきし違う材料を使う料理を今日作ってしまうと、結果的に捨てる材料が発生するという可能性も忘れてはイケナイ。また、何も考えずに冷蔵庫にあるもので料理すると「ママが明日使う予定だった鶏肉つかっちゃったー」「しね」みたいな状況になって大変なことになる可能性もある。

なんとなく内閣府が想定してるであろう「父親がフルタイムで働いていて専業(もしくはパートレベル)の母親と子どもがいる家庭」を基本としていろいろ書いてみたけれど、家庭の事情なんてそれぞれなのだから、こんなことをそもそも内閣府が言い出すことなんてないのではないのかという疑問も湧いてきた。

まぁそういうのは関係なく誰でも料理はできるようになっておいた方が良いとは思うけれども、やはり大きなお世話な気がするんだよなぁ。

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